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今年の4月、不動産の相続登記を義務化するための法案が、国会で可決されました。そして、2024年をめどに、相続を原因とした不動産の所有権移転登記が義務化される予定です(正当な理由なく、期限内に登記がされない場合には、10万円以下の過料が求められる規定も設けられています)。
・なぜ義務化されるの?
国土交通省の調査では、現在登記されている土地のうち、約2割が所有者不明の土地とされています。その所有者不明の土地の総面積は、すでに九州の広さを超えているという推計もあります。東日本大震災の復興事業では、被災地再開発の際、この所有者の不明な土地が用地買収の妨げとなり、復興を遅らせる要因にもなってしまいました。そのため、国は所有者不明の土地をこれ以上増やさないために、相続登記の義務化に乗り出したのです。
・これまではどうだったの?
相続放棄には3か月以内、相続税の申告には10か月以内という期限が定められているのですが、相続の登記についてはこれまで、「不動産の所有者が亡くなってから、いつまでに登記しないといけない」といった期限も無く、登記自体も義務ではありませんでした。固定資産税さえ納めていれば、市役所等からも相続登記を求められることは無かったため、「手続きが面倒」「登記に費用がかかる」などの理由で、相続登記がされないままになっている土地が増加していました。
・自分たちの権利を守るために!
司法書士という職業柄、これまで私は、相続登記をせずに放置していたがために、トラブルに巻き込まれてしまったという事例をいくつも見てきました。相続登記をしないうちに相続人の一人が亡くなってしまい、その子らから、父の法定相続分に相当する金銭を要求された例や、相続人の一人が行方不明になってしまい、土地の権利が確定しないことから、住宅の建築を諦めてしまった例などがありました。
相続した土地を売却したり、相続した土地を担保に住宅ローンを組み、家を建築するためには、相続登記を必ずしなくてはなりません。「相続登記が義務化され、罰則もあるのでしょうがなく登記する」のではなく、「自分やその子孫の権利を守るためにも、できる時にちゃんと手続きをしておく」という気持ちで、間違いのない相続手続きをしておくことをおすすめします。
[事務所情報]
司法書士尾崎合同事務所
愛知県司法書士会所属 司法書士尾崎真也
愛知県豊川市南大通六丁目16番地
電話:0533-80-7312
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